なぜ社会は、人間関係の問題を優先しないのか?

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社会問題の取り組むべき最優先課題は、人間関係である。
これは、私自身が大学時代から考えていたことです。さらに言えば、どうしてこの結論を多くの人が持っているのにも関わらず、人間関係の問題に真摯に取り組まないのか?という疑問がありました。
「社会をよくしよう」と立ち上がった多くの起業家は、家庭内の人間関係がボロボロという例は多いです。
例えば、多くの国々を飛び回り、素晴らしいことを語っている企業のトップが、身近な人間関係がうまくいっていないなら、その未来は本当に実現するのでしょうか?説得力がない気がしませんか?
とまぁ、そんな方々を否定的に思っていた私ですが、なぜ、人間関係の問題に真摯に取り組まないのか?という事に対して、ハーバード大学の教授が、このような事を言っていて、大変納得しました。
ロバート・ウォールディンガー氏「人生を幸せにするのは何?」
ハーバード大学にて75年間の研究がありました。何をしたかというと「人生を健康で豊かにするものは何か?」という研究です。結論はとてもシンプルで「良質な人間関係が、人生を健康で豊かにする」というものでした。
しかし、この動画の初めに彼が伝えている通り、最も大切な人生の目的は?という問いに対して、80%の人は富を蓄えることであり、それ以外のうち50%の若者は有名になることでした。
さらに、このような「良質な人間関係が健康で豊かにする」という事実は、今わかったことではなく、よく言われていることですが、どうしてそんな関係は築き難く、無視されやすいのでしょうか?と語っています。
あなたは、その答えはなんだと思いますか?
私たちは、手っ取り早く手に入れられる生活を快適に維持してくれることが大好きであり、逆に人間関係は複雑で、家族や友人との関係を維持していことは大変です。
その地道な努力はみえないですし、何かしらの目に見える結果を得られるものでもありません。さらに、定年退職した後も、死ぬまでこの仕事は続きます。
だから、自分の日々の選択を、良質な人間関係を築くことに傾かずに、手っ取り早く手に入れられる結果に傾いてしまいます。
社会問題も、1:1の関係性からすべて発展している。
じゃあ、人間ってそんなもんだから、仕方ないよね。で終わらせたら、夫婦関係も親子関係も、ひいては社会問題も根本的な解決は起きませんよね。
例えば、介護事情に関しても、親が年齢を重ねて施設に預ける理由として、見えない所に「親との人間関係が面倒だから」ということが必ずあります。
最近であれば、総理大臣でさえ、夫婦間で疎通が取れず、国会で言及されていました(だからといって、言及する側の人間関係が良質か・・という事に関してはノーコメントです)
職場だってそうですよね。「あいつと仕事をするのはめんどくさい・・」という気持ちがあって、どうやって上手くやろうか?と考えることはありませんか?
そうした複雑なことを考えずにシンプルにやれば数分で終わる仕事も、人間関係によって何時間、何日もかかるという事はよくあります。このように、人間関係のコストって実はめちゃくちゃかかっているんですよね。
それを裏付けるかのように、MITの教授、ダニエル・キム氏がリーマンショック後に生き残った企業とそうでない企業を比較した時に、次のことがわかったと言っています。
「生き残れなかった企業は、結果の質を優先し、生き残った企業は関係性の質を優先した」ということです。これも言わずと知れたこと。
しかしながら、社会問題までつながっていく、関係性の質を無視されるのはどうしてでしょうか?これは、実にシンプルに整理できます。
結果は目に見える。人間関係は目に見えないから無視されやすい。
簡単です。結果は目に見えますから、それを指標として考えることができます。しかし、人間関係は見えないですから、何をどのように大切にすればいいのか?が分からないのです。
このような前提のもと、人材教育系の企業は、様々な診断ツールや、分析ツールを使用して「見える化」を行ってきましたが、一向に人間関係の問題が根本的に解決した例はありません。
これは何を意味しているのか?といえば、見える化するという手法は誤っていたということです。
ですから、目に見えない人間関係を、まずはあなたがどこから、どのように築いていたのか?ということを認識することが必要です。
それは、見える化するのではなく、自覚化することで始まります。ぜひ一緒に、社会の最優先課題である、人間関係の問題に向き合っていければ嬉しいです。
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